インドネシア共和国の一州であるバリは、南緯8度、東経115度に位置する島です。およそ東西150km、南北80km、面積は5632km²。キノコのような形をしている島の北寄りに東西を貫く中央火山帯が走り、東部には1963年に噴火したバリの最高峰アグン山をはじめ2、3000m級の火山がそびえ立っています。気候は典型的な熱帯性気候で10〜３月が雨期、4〜9月が乾期となります。大多数がイスラム教徒のインドネシアにおいて、バリ・ヒンドゥー教が大多数（約93％）を占め、固有の社会生活、宗教生活を営なみ、神々と芸能の島と呼ばれています。
　バリはマリン・リゾートとしても人気ですが、私は内陸部の村々を訪ねるのが好きです。よりバリらしいバリに出会うことができます。子供の頃、祖父母が住む田舎の田んぼや野山で遊んだ記憶が蘇り、懐かしい故郷に帰ってきたような気持ちになります。自然と敵対するのではなく、自然の恵みの中で人間が生かされていることに感謝し共存している慎ましさをバリの人々に感じるからでしょうか？　そして、超一流の歌舞団による伝統芸能なども、村人の日常生活の中で育まれています。庶民の手が届かない高尚で難解なものとして崇め奉られてはいません。このような非常にレベルの高い芸術を、誰でも身近に触れ、肌で感じることができるのもバリの魅力の一つです。物質的豊かさのみ追い求めてきた結果、我々現代人が忘れつつある「生きることの意味」を思い出させてくれるエネルギーに満ちたところです。